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【超定番】『ウォール街のランダム・ウォーカー』を解説|インデックス投資のバイブル

2020-12-12
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バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』の評判
なぜこの本は、こんなに分厚くインデックス投資と関係ない投資法が多く書かれているか。
本の主張は極めてシンプルに、インデックス投資が一番、理に適っているという一言にもきるにも関わらず。
そんな疑問を初めて読んだ時に私は感じました。ですが、仮想通貨のバブルを経験してこの謎が解けました。
上がり続ける相場、〇〇万儲かった、お前もやれば儲かるよという職場の同僚の声、
仮想通貨で億り人が!と風潮するメディア、普段は投資に目もくれない人からすらも聞こえてくる仮想通貨の話題。
こんな熱狂の中では、冷静さを保つことも難しく、オレも仮想通貨買ったほうが儲かるじゃん。
毎月ちょびちょびとインデックスの投信を買い付けていくなんてバカバカしい…とすら感じていました。
まぁビットコインが暴落した時に全員の声が消え、誰もいなくなり、目も覚めましたが。

仮想通貨バブルを経験して学んだことは、インデックス投資を続ける上で一番難しいことは、
この方法よりもずっといいやり方があるのではないかという誘惑に負けないことです。
誰もが冷静ではいられなくなるバブルの熱狂の中でも、目もくれずに続けるということです。
正直この本で紹介しているインデックス投資には、面白みの欠片もありません。
一度大きな額を買ってずっと持ち続けるか、毎月毎月同じ額を買い続け増やしていくかの二択しかありません。
FXのように相場が大きく動いてワクワクするようなスリルもありませんし、
宝くじのようにこれが当たれば大金持ちだという高揚もありません。
インデックス投資はとても退屈です。
こんなにもつまらない投資を、ひたすら続けるのは思っている以上に大変なことです。
そのためこの本は長々と紙面を取り、誘惑に負けないように、冷静さを保てるように、
バブルの迎える悲惨な結末を語り、テクニカル分析の杜撰さを暴き、
ファンダメンタル分析すらも信用出来ないと続けます。
読者がインデックス投資以外の脇道に逸れないようにという意図すらも感じますが、
退屈だが、この方法が最善だから信じて諦めずに続けなさいというメッセージでもあります。
このメッセージは、本一冊を通して感じる強いものです。

インデックス投資は、孫氏の兵法のように勝つための投資法ではなく、負けないための投資法です。
インデックス投資を継続しても、上を見れば自分より儲けている人は、
数限りないという状況になるのは否定できません。
ですが、バブルの熱狂に踊らされているだけの大半の馬鹿に負けることは決してありません。
冷静さを保ち株式市場に残り続けることさえ出来れば、大半の人は欲に目がくらんで自滅し勝手にいなくなるからです。
とてもつまらない投資法を紹介している本ではありますが、ためになる本です。
バブルというのは、後で振り返ってみて初めてあの時はバブルだったということがわかるものです。
普段投資の話なんてすることを聞いた試しがない人が、投資の話をしている時はバブルの熱狂の中にいるのかもしれません。
熱狂的な相場を迎える度に、ランダム・ウォーカーを繰り返し読み直し、
冷静さを取り戻し、インデックス投資を続けていきましょう。
反対にヒステリックな声ばかり聞こえる、悲惨な下げ相場の中でも、ランダム・ウォーカーを読み直し、
諦めずにインデックス投資を続けていきましょう。
相場は、躁鬱病の患者のようなものです。上げ調子の時は、我を忘れて熱狂し、下げ調子の時は、ヒステリックに喚き散らす。
どんな相場のときでもランダム・ウォーカーを手元において、
正気を保ってとても退屈なインデックス投資を継続していきましょう。

最後に
具体的にインデックス投資を始めたい方は、
この本と合わせて、つみたてNISAかiDecoを紹介している本を当たるといいですよ。

出来れば13版も読みたいので、発売を心待ちにしております。
色々なエピソードが書かれているが正しいかどうか怪しい部分も多い。例えばネット株の値動きについては誤りが多い。上がっている銘柄が暴落したことになっているのはおかしい。反面、ビットコインなどについては妥当な分析をしている。玉石混交なのだ。
ただ、この本で読むべきなのは480頁から486頁までの第15章「ウォール街に打ち勝つための三つのアプローチ」の「2手作り型の歩き方 有望銘柄を自分で探す」だ。ここだけ読めば十分。逆に言うとここを読んでから、後の部分は適当に開いて読めばよい。他はおまけのようなものだ。
この章には4つのルールが示されている。
ルール1 少なくとも五年間は、一株当たり利益が平均を上回る成長を期待できる銘柄のみを購入すること
ルール2 企業のファンダメンタル価値が正当化できる以上の値段を払って株式を買ってはならない
ルール3 近い将来、「砂上の楼閣」作りが始まるような、確固たる成長見通しのある銘柄を購入するとよい
ルール4 なるべく売買の頻度をへらすべし
この4つについては、新奇性はないが間違ってもいない。それどころか投資家として肝に銘じておかなくてはならないことばかりだ。ただ、これだけのことのために480頁も読み進めるのは時間の無駄というものだ。
資産運用についてきちんと考えるのであれば、内容についての異論等もあるかもしれませんが、これはきちんと読んでおくべき基本文献です。
版を重ねる中で内容もシェイプアップされ、今日的な様々な動向なども取り入れたものになってきていると感じます。
翻訳ものはどうしても隔靴掻痒感があることが多いですが、本書についてはす原書の「しゃれ」的な部分も、よい翻訳でわかりやすく伝えてくれています。
分厚いですが、学術書ではなくて一般向けの資産運用指南書のようなものですので、「この株で大儲け」的なうさんくさい本よりもこの一冊をとりあえず読み込んでください。